2022年8月19日金曜日

第189回 金曜会 のお知らせ (8月31日(水))

今回の演者は元NIDA, NIHの矢野秀明先生です。 
矢野先生はNIDAでポスドク後、2020年よりボストンのNortheastern大学で助教として研究室を運営しておられます。 NIDAでは分子生物・薬理学的アプローチにより種々の受容体の観点から薬物依存を含めた精神疾患の研究に従事されました。 この度の講演では大麻の主成分として知られるカンナビノイドの合成版である、合成カンナビノイドについてお話をして頂きます。合成カンナビノイドは日本でも危険ドラッグに分類されており、若者を中心としたその乱用が社会問題になっています。矢野先生はアミノアルキルインドール系合成カンナビノイドが大麻に比べより強い効果を示す事、またその作用機序の一端を解明しました。 また、セミナー後半ではNIHポスドクからアメリカの大学での研究室運営までの道のりをお話し頂く予定です。 

 講演会はオンラインのみとなり、懇親会は行わない予定ですのでセミナー後に質疑応答時間を設ける予定です。 なお、今回は水曜日の18時からとなっておりますのでご注意ください。 多くの皆様のご参加をお待ちしております。 

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第189回金曜会(2022年8月31日(水)) 
セミナー:午後6時[EST]オンラインにて 
演者:矢野秀明先生 (Northeastern University) 
演題:「合成カンナビノイドにより喚起される超作動性の分子メカニズム」 

懇親会:無し、セミナー中に質疑応答時間あり 

 ご登録いただいた方にのみWebExのリンクを送信します。 
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(講演 要旨)
COVID-19パンデミック下において⽶国内外で薬物乱⽤・依存が顕著に増加しています。薬物乱⽤の⽬的はレクリエーション、現実逃避など様々ですが、根幹にある欲求は多幸感取得です。残念ながら医療⽤、⾮合法両者の向精神薬で薬物毒性が存在し、投薬量制御の改善とは別にその薬理メカニズムの解明が急務です。
昨今のオピオイド系鎮痛剤の乱⽤の陰に隠れていますが、2010年代にピークを迎え現在に⾄るまで合成カンナビノイドは突然死を含めた救急外来数や薬物検挙数の圧倒的多さで若者を中⼼に社会問題になっています。⼤⿇合法化の波による誤った認識のもと違法合成カンナビノイドの使⽤者は急増加し、その諸症状は明らかに⼤⿇による⾼揚感とは⼀線を画すと報告されています。
今回は⽇本においても危険ドラッグの⼀翼をなすアミノアルキルインドール系合成カンナビノイドの薬理研究の発表をさせていただきます。化合物内にある僅か⼀つのメチル基差異により、最⼤効果に多くの差が⽣じG蛋⽩活性の超作動性(superagonism)を喚起する事を発⾒、分⼦レベルからネズミの脳内までその効⼒の差を実証しました。よって違法合成カンナビノイドの最⼤効果とその毒性のメカニズムの⼀部解明が出来ました。
 
講演後半では、NIDA(National Institute on Drug Abuse)でのポスドクから⽶国の薬科⼤学で研究室を持つまでの流れに関する経験談をさせていただき、job huntやfaculty lifeに興味のある⽅からの質疑に答えようと思います。


 

2022年8月18日木曜日

第188金曜会のお知らせ

 今回の演者はNCIの加藤卓也先生です。

加藤先生は日本で消化器外科医として研鑽を積まれたのち、2019年からNCIの小林久隆先生のラボでポスドクとして光免疫療法の研究に従事しておられます。
光免疫療法はすでに日本でEGFR陽性の再発・転移頭頚部癌を対象に治験が行われておりますが、先生はさらに光免疫療法の適応を他の標的にも広げることを目的にして研究を行ってこられました。
この秋日本に帰国なさるにあたり、帰国前にご講演をお願いいたしました。

ぜひ多くの皆様にご参加いただけますことをお待ちしております。



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第188回 NIH金曜会

講演会:2022年8月19日午後6時よりオンライン開催
    Building 37 4階カンファレンスルーム (Room #4041/4107)
    または
    Webexにて
 
 演者:加藤卓也先生(NCI)
 演題:近赤外光線免疫療法を用いた癌治療 ―新規標的の探索―
 
懇親会:午後8時ごろより Guapo's Restaurantにて

★オンライン参加リンクは申込者のみに送付いたします★
★懇親会はIn personのみの開催です★

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(講演 要旨)
固形癌に対する治療法は手術、化学療法、放射線治療で
したが、宿主の腫瘍免疫を活性化させる“免疫療法”が第4
のがん治療法として加わりました。しかしながら、奏効率の
低さや免疫関連副作用など、まだ克服しなければならない
問題も残されています。癌治療は、癌細胞のみ殺傷し、周
囲の正常組織を傷つけることなく局所の腫瘍免疫を高める
ことと考えられます。このコンセプトのもと、小林久隆先生
の研究室で開発された近赤外線を用いた光免疫療法
(Near-Infrared Photoimmunotherapy: NIR-PIT)は、日本
で再発・転移頭頚部癌に対してEGFR(上皮成長因子受容
体, epidermal growth factor receptor)を標的とした保険
適応治療が開始されています。今後この治療法を様々な
癌に対して応用するために、EGFR以外の新規標的分子を
用いた光免疫療法を当研究室で開発しております。今回は
その一例として①癌細胞と癌関連線維芽細胞を標的とする
治療②骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid-derived
suppressor cells, MDSCs)を標的とする治療の現状と効
果についてお話させて頂きます。

また私は日本では消化器外科医(食道外科)を専門として
いました。手術を専門とする外科医がなぜ基礎研究に興味
をもつことになったのか?外科医が研究を行う必要性があ
るのか?などかなり私見が入りますが、NIHに留学させて
頂くことになった経緯も含めて、お話させて頂きたいと思い
ます。どうぞよろしくお願いします。