今回の演者は、Rutgers UniversityでPIをされている中村哲也先生です。
中村先生は大阪大学の濱田博司先生(現・理化学研究所) の元で左右軸の形成メカニズムの研究で学位を取得されました。 その後ポスドクとしてシカゴ大学のDr.Neil Shubinの研究室で脊椎動物の手の進化についての研究で業績 を上げられ、2018より独立してRutgers UniversityでPIをされています。渡米されて以来、 一貫して脊椎動物の手の進化メカニズムに着目して研究を進められ ています。
この度、 NIDCDの太田将先生よりご紹介いただき金曜会でのオンライン 講演をご快諾いただきました。 NIHにおきましては臨床あるいは基礎研究で医学に関する分野で 研究をされている方も多いと思いますが、 今回は中村先生のEvolution& Developmentのお話をお楽しみください。
多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。
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第183回金曜会(2022年2月4日)
セミナー:午後6時より[EST]オンラインにて( 日本時間2月5日(土)朝8時)
演者:中村哲也先生(Rutgers University)
演題:「 魚の鰭が陸上動物の四肢に進化する発生メカニズムの変化」
懇親会:セミナー終了後、オンラインにて
登録いただいた方にのみ、WebExのリンクを送信します。
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講演要旨:
約3億8千年前、私たち脊椎動物の祖先である魚類はその形態を変化させ、陸上へと進出することに成功しました。しかし、魚類が四足動物へと進化した過程の中間動物はわずか数種類の化石が見つかっているだけであり、その進化メカニズムは多くが謎に包まれています。私達のグループは、体の様々な器官の進化の中でも特に四肢に着目しています。わずか数種類の化石記録は、魚の鰭が徐々に形態を変え、四足動物の手足に進化した事を示していますが、その裏にある発生プロセスの変化についてはほとんど調べられていません。そこで魚の鰭から手足が進化したメカニズムを明らかにするため、私達は遺伝学、ジェノミクス、比較解剖学を組み合わせてアプローチしています。これまでに得られたデータは、魚の鰭と鰭に付随する肩の骨は、従来の予想とは異なる細胞系譜から発生している事を示しています。現在は、鰭と肩の骨における細胞系譜とその分化が、進化の過程でどの様に変化・保存されてきたのか、その遺伝メカニズムの解析を行っています。セミナーでは、特にHox遺伝子とGli遺伝子が手足の進化に果たした役割を議論できればと思います。
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