1月20日開催予定の第193回金曜会のお知らせです。
演者はNIAMSの仲野寛人先生とNIDCRの中村浩之先生のリウマチ膠原病内科バックグラウンドのお2人です。
仲野先生はリウマチ膠原病内科医として診療を行うとともに、横浜市立大学にてベーチェット病などの自己炎症性疾患の研究に従事してこられました。2018年よりNIAMSのポスドクとして渡米してこられ、主に小児のsJIA(スティル病・全身型若年性関節炎)を対象にドライとウェットを併用して研究を進めて来られました。
中村先生もリウマチ膠原病内科医であり、2019年に北海道大学よりNIDCRにポスドクとして来られて、以来シェーグレン症候群の研究に従事されております。こうした自己免疫疾患は「加害者」である免疫系の機能異常という側面から研究されることが多いのですが、中村先生は「被害者」である自己免疫反応のターゲットとなる唾液腺細胞に着目して研究を進めて来られました。
仲野先生は横浜市立大学に、中村先生は札幌医大にポストを得られ、この春に本帰国のご予定ということでお話をお願いいたしました。この領域の疾患はいずれも比較的希少であり、かつ疾患の本質や全体像を示すような病理検体が得られません。そうしたとらえどころの少ない疾患をどのように研究していくか、先生方の研究は他の分野の研究にもきっとヒントになると思います。
なお、講演会はin person限定での開催を予定しておりますが、Bethesdaキャンパスのリスクレベル次第でオンライン開催に当日突然変更となる可能性があります。ただしその場合でも懇親会に関しては予定通りin
personで開催させていただく予定です。
多くの皆様にご参加いただき、お会いできるのを心よりお待ち申し上げます。
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第193回 NIH金曜会
講演会:2023年1月20日午後6時よりin person開催
Building 37 4階カンファレンスルーム (Room
#4041/4107)
演者1:仲野寛人先生(NIAMS)
演題1:スティル病・全身型若年性関節炎の発病に関連する感受性遺伝子CXCR4
演者2:中村浩之先生(NIDCR)
演題2:シェーグレン症候群の唾液腺上皮におけるリソソーム機能異常
懇親会:午後8時ごろより
Cubano's Restaurant(4907 Cordell
Ave)にて
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仲野先生 講演要旨
スティル病・全身型若年性関節炎(sJIA)は、不明熱・関節炎をきたす病気として内科医・小児科医が想起する病気です。分子標的薬の開発により治療が進歩したものの、小児例では半数が寛解に至らず、時にはサイトカインストームにより死に至るケースがみられます。それ故、小児リウマチ性疾患においては最もアンメットニーズが残されている病気の一つであると考えられています。
私達のグループは炎症性疾患のイムノチップアッセーにより、6つのSNPのハプロタイプを持つ群でsJIAの疾患感受性が上昇することを突き止めました。このSNPのハプロタイプはCXCR4の発現上昇に関わること、そして骨髄球系の血球の遊走能増大に関与することがしめされました。今後sJIAを含めた自己炎症症候群のニーズに応える一助となるべく、今後のドラッグリポジショニングの可能性等の検証を続ける見込みです。
中村先生 講演要旨
シェーグレン症候群は、自己免疫性の外分泌腺炎で、主に唾液腺と涙腺が障害されることによるドライマウスおよびドライアイ症状を呈する疾患です。その外分泌腺機能障害に至る病態機序はよく分かっておらず、自己免疫性疾患であるにも関わらず免疫抑制治療の効果は限定的です。今回、私たちはシェーグレン症候群患者の唾液腺上皮細胞にリソソーム機能異常が生じていることを発見し、そのリソソーム機能の是正を目的とした新たな治療戦略の可能性を見出しました。
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