今回の演者はNIMHのプリンシパルインベスティゲーターでいらっしゃいます中沢一俊先生です。先生は慶應大学医学部をご卒業後基礎研究の道にすすまれ、MITにて利根川進博士のラボでご活躍の後、現在NIMHにてご自身のラボを運営されていらっしゃいます。中沢先生から日本語でご講演をいただける貴重な機会ですので、ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。
参加ご希望の方は、11月14日(月)までに、NIH金曜会管理メールnih.kinyokai@gmail.com(担当幹事:後藤)までご連絡ください。セミナー、懇親会それぞれについて、ご連絡いただければ幸いです。セミナーのみ、懇親会のみのご参加も大歓迎です。皆様のご参加をお待ち申し上げております。*********************************
第32回金曜会:2011年11月18日(金)
セミナー
時間:午後6時より
場所:ビル37, 2階セミナー室(Room2041/2107)
演者:中沢 一俊 (Kazu Nakazawa M.D., Ph.D.)先生
Principal Investigator
Genetics of Cognition and Behavior Unit, NIMH
Porter Neuroscience Research Center, NIH
演題:
マウスを用いた統合失調症の病態解明に向けて
午後8時より、Rockbottom Restaurant、Bethesda
要旨
近年、精神神経科領域の基礎研究が俄然面白くなってきました。特に統合失調症と自閉症の研究への基礎研究者の参入が目覚しく、双極性障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などでも臨床経験のない研究者が研究に参画してきています。このような傾向をもたらすひとつの理由として脳代謝画像研究の進歩やゲノムワイド関連解析などからもたらされる新規関連遺伝子の研究等に基付き、新規のモデル動物(ラット・遺伝子改変マウスなど)が盛んに作られ、基礎研究者に具体的な研究パラダイムを提供しているからと思われます。小生も新規参入者の1人で2003 年にNIMHに赴任し小さな研究室を開設し精神神経科疾患の基礎研究を開始しました。理化学研究所とマサチューセッツ工科大でのポスドク時代にグルタミン酸受容体の研究をしてきた関係で、統合失調症のいわゆるグルタミン酸仮説(正確にはNMDA受容体機能低下仮説)に強い興味を持ちました。そこで実際にこの仮説を検証するために最近Cre/loxP系を利用した遺伝子改変マウスをいくつか作出したところ、大脳皮質と海馬の抑制性ニューロンでNMDA受容体を選択的に欠失させたマウスで比較的よく統合失調症の病態生理を反映することを見出しました。具体的には、主にparvalbumin(PV)陽性の大脳皮質と海馬の抑制性ニューロンでNMDA受容体subunit Grin1 (NR1)をマウス生後2-3週間の間に欠失させると、成熟後にPrepulse inhibition 障害、working memory障害、皮質神経細胞の同調的発火の障害などが見られました。この発見を契機に、現在7人で構成されるラボ全体を大脳皮質や海馬のGABA系抑制性介在細胞とその精神疾患との関連に関する基礎研究に絞り、仕事を進めています。
懇親会
0 件のコメント:
コメントを投稿