明けましておめでとうございます。
旧年中はNIH 金曜会にご参加いただきましてありがとうございました。
旧年中はNIH 金曜会にご参加いただきましてありがとうございました。
今年も金曜会の活動にぜひご参加いただきますよう、 どうぞよろしくお願い申し上げます。
第23回金曜会のお知らせです。
今回はNCI 古澤貴志先生とFDA 藤澤聡郎先生にご講演いただきます。
第23回金曜会
1月28日(金)Seminar: 5:30pm〜Bldg37 (4F) Room4041/4107Social: 8:00pm〜Penang4933 Bethesda Avenue, Bethesda301-657-2875
ヌクレオソーム結合因子HMGN5の過剰発現マウスにおける心筋細胞のクロマチン構造および心臓機能への影響
古澤貴志(Takashi Furusawa Ph.D.)先生NCI/ Lab of Metabolism/ Protein Section (Dr. Michael Bustin Lab)
High Mobility Group Nucleosome(HMGN)タンパク質はクロマチンの構成単位であるヌクレオソーム特異的に結合する非ヒストンタンパク質であり、その結合によってクロマチン構造の変換を誘導する。マウスではHmgn1, Hmgn2, Hmgn3, Hmgn5が同定されており、マウス胚発生過程においてHmgn1およびHmgn2はユビキタスな発現が見られる一方で、Hmgn3とHmgn5はそれぞれ組織特異的な発現を示す。また核内においてHMGN1, HMGN2, HMGN3タンパク質は主にへテロクロマチンに局在するが、マウスHMGN5タンパク質はユークロマチン領域に局在する。マウス胚発生過程におけるHMGN5の役割およびin vivoにおけるHMGN5によるクロマチン構造への影響を明らかにするため、我々はCre-LoxPシステムを用いたコンディショナルなHMGN5過剰発現マウスを作成した。今回は、これらのHMGN5過剰発現マウスの心臓において異常が観察された結果を報告したい。心臓特異的にHMGN5を過剰発現するマウスを作成したところ、心筋細胞におけるクロマチン構造や遺伝子発現の変化だけでなく、心臓肥大と機能異常が観察された。これらの結果は非ヒストンタンパク質HMGNによるクロマチン構造の変化が組織の機能に影響を及ぼす事を示していると考えられる。
IL-13Rα2, その癌特異抗原としての役割と標的治療法の開発藤澤聡郎 (Toshio Fujisawa M.D., PhD.) 先生FDA/CBER/Division of Cellular Gene Therapy
Interleukin 13 receptor (IL-13R) のsubunitであるIL-13Rα2はIL-13Rα1, IL-4Rα, IL2Rγcと共にIL-13 receptor complexを形成する。IL-13R complexは主にJAK/STAT pathwayを介しsignalを細胞内に伝達するが、IL-13Rα2は細胞内domainが短く、単体でもIL-13と強く結合しJAK/STAT pathwayを阻害するために、decoy receptorであると考えられてきた。しかし近年、IL-13Rα2単体でもJAK/STAT pathwayとは異なったpathwayを誘導しうるという報告が散見されるようになった。
またIL-13Rα2は、各種固形癌において特異的に発現が高く、正常組織ではほとんど発現が見られないため、癌特異抗原として活用され、分子標的治療薬のターゲットして研究が進められている。IL-13Rα2をターゲットとしたimmunotoxinであるIL-13-pseudomonas exotoxin (IL-13-PE)はIL-13とpseudomonas exotoxinのキメラタンパクであり、そのIL-13Rα2との親和性の高さを利用して特異的に癌細胞に結合し、アポトーシスを引き起こす。現在、脳腫瘍に対してphase III trialが進行中である。
私のプロジェクトはこのIL-13-PEを用いた癌治療法の開発がメインのコンセプトである。膵臓、胆道系の疾患が私の臨床の専門領域なので、その中でも特に発見が困難で治療が難しい膵臓癌に焦点を絞り研究を進めている。今回は以下3点の研究結果についてBackgroudを含めて概説する。
1)膵臓癌におけるIL-13Rα2の発現とIL-13-PEを用いた抗癌治療の有効性の検討 膵臓癌においてもIL-13Rα2は高率に発現しており、IL-13-PEを用いた新規治療法は癌の成長を抑制しモデル動物であるマウスのSurvival timeを有意に延長した。2)膵臓癌におけるIL-13Rα2の役割の解析 siRNAを用いたIL-13Rα2のknock-downにより、腫瘍の肝臓やリンパ節への転移が抑制され、マウスのSurvival timeを有意に延長した。機序としてはIL-13Rα2がMatrix Metalloproteinaseの発現を調節しているとが考えられた。3)膵臓癌におけるIL-13Rα2の発現メカニズムの解析 その結果、epigeneticな調節がIL-13Rα2の発現に大きく関わっており、IL-13-PEを用いた抗癌治療に得られた知見が役立つと考えられた。
皆様のご参加をお待ち申し上げております。
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NIH金曜会
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